まるはちブログ

東京からパリへ。次へ!というより一回休む、かなぁ。

体を伝えるメディア「バイオマーカー」

今日はPULSEのサイトにアクセスできるようになったので午前の授業は全く聞かずにPULSEのサイトを見たり、次の記事のネタになりそうな話題を探していた。

 

大手製薬企業がバイオマーカーのデータを共有すると発表したらしく、創薬の加速化への期待ということで書こうかなと。いままでニュースって受動的に流れてくるものを受け取るだけだったのであまり気にしたことなかったけど、自分から情報を探すようになると、医療という狭い領域だけでも一日一日どんどん変革が起きているのだなと感じる。情報感度を高く保たないとあっというまにおいて行かれるような世界だなと。

 

 

ところでやはり、バイオマーカーってのはすごいなと思う。

「医療イノベーションの本質」に、今後は製薬企業の役目として薬の開発よりむしろ検査薬・検査手法の開発が重要視されるようになるだろうと書かれていたが、確かにその通りだと思う。全体としてがん領域以外は薬がかなり出そろっているため、画期的新薬が発見される確率は低くなり、研究開発のコスパは低下していく一方である。というか高血圧や糖尿病にアンメットニーズはもうほとんどないんじゃないだろうか。その点、検査手法はより簡便・安価な遺伝子検査技術やそれこそがんの診断など、今後の開発が期待されているものが多い。

 

検査技術の中でも、特に重要なものにバイオマーカーは入るはず。遺伝子検査が目立っているけれど、新規バイオマーカーの発見は疾患の治療にも研究にも大きな進歩をもたらす。例えば肝機能を測るのにALT/ASTやγ-GTPは不可欠だろう。これらバイオマーカーが発見されてなければ肝機能なんて直感的に測るしかくて、治療法の開発も難しくなる。

認知症もアミロイドβやタウがバイオマーカーとして血中から検出できるようになることで早期介入による治療に希望が生まれてきている。発症より10年とか20年前からバイオマーカーの値が上昇するらしく、そうしたハイリスクというか予備軍の人に対して介入できる可能性がある。心筋梗塞脳梗塞のハイリスク者である脂質異常症に対してスタチンで介入するのと同じように。

 

で、いまどんなバイオマーカーが重要かと言われれば、やはりがんという話になるだろう。肝機能や腎機能など色々なからだの状況がバイオマーカーにより定量的に、化学的に評価できるようになっている中で、がんはいまだに"大きさ"というざっくりした値でしか評価できていない。それに、大きさでしか評価できないから早期発見が困難だったり治療効果が定量的に記述できなかったりするのである。

 

前立腺がんはよいバイオマーカーが発見されたらしく、非常に発見率が高くなったそうで。それは良いことなのだが見つかりすぎて治療しなくてもよいレベルの人まで治療することになって大変だそうだ。

 

そうしたよいバイオマーカーが発見されればがんはもっと早く見つかり、重篤になる前に対処ができるようになるだろう。PETやMRIの会社は小さいがんを発見できるように技術を向上させていくと思うが、製薬企業にはがんばって優秀なバイオマーカーを発見してほしいものである.。

 

今回のバイオマーカーのデータ共有はそういうのとまた違って、体の状態を表すバイオマーカーのデータを共有するということだと思うが。それはそれで薬の開発には役立つだろう。日本の大手三社がまとまってやっと海外の巨大製薬企業と同じくらいの規模になるので、こういう連携を行ったうえでそれぞれが得意な疾患領域で創薬を進めていけたらよいですね。

 

違うことを書くつもりだったのにバイオマーカーのことで終わってしまった。

まあ、起業について思ったこととかは明日にでも。